最終更新日: 2025/03/24
出産の痛みと無痛分娩
子供が生まれることは、妊婦だけでなくご家族にとっても人生の中で貴重な経験のひとつです。
妊娠や出産が喜ばしいことである一方、さまざまな不安が伴うものでもあります。
特に出産時は痛みが激しいというイメージが一般的にあり、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
陣痛の感じ方には個人差があり、そういった痛みへの不安を和らげる方法として、無痛分娩があります。
当院では、現在もっとも普及している「硬膜外麻酔鎮痛法」にて無痛分娩を提供しています。
無痛分娩の種類
無痛分娩には2つの方法があります。
陣痛が始まるのを自然に任せ、陣痛が始まったら硬膜外麻酔を行うオンデマンド無痛分娩(自然無痛分娩)と、
あらかじめ出産日を決めて陣痛誘発をしながら硬膜外麻酔を行う計画無痛分娩があります。
当院では、原則、計画無痛分娩のみを扱います。
※初産婦については、無痛分娩が可能かどうかは、外来にて医師とご相談ください。
無痛分娩のメリット
分娩時の痛みを軽減することができます
子宮の収縮や子宮口に伴う痛みは脊髄からの神経によって支配されていますが、その神経を硬膜外麻酔でブロックすることで痛みをある程度取り除くことができます(つまり完全な無痛無感覚ではなく実際には和痛です)。痛みが軽減されることによって分娩中の体力の消耗が少なく、産後の体力の回復も早まります。また、陣痛に対する不安や恐怖感が強い方やパニックになりやすい方は、痛みを抑えることによってリラックスでき、より安全に分娩を行うことができます。
無痛分娩のデメリット
分娩の長期化や吸引分娩が必要になる可能性があります
出産が近づいてくると、赤ちゃんの下降感や圧迫感が強くなりますが、妊婦さんによってはこの圧迫感や陣痛が弱くなり、分娩の長期化や、最後のいきむ力が不十分と判断された場合には吸引分娩になることがあります。
合併症が起こる可能性があります
細心の注意を払って麻酔を行いますが、軽度の低血圧や発熱が出る場合があります。また、極めて稀ですが、麻酔の効きすぎや、局所麻酔による中毒、硬膜下血腫、低髄圧性頭痛が起こる場合もあります。
無痛分娩の方法(硬膜外麻酔鎮痛法)について
背中から柔らかいカテーテルという細いチューブを硬膜外腔に挿入して、出産が終わるまで痛み止めの麻酔薬を注入し痛みを緩和する方法で対応します。この方法は副作用や赤ちゃんへの直接的な影響も非常に少ないと考えられています。
無痛分娩の安全性について
当院は開院以来これまでに硬膜外麻酔鎮痛法を用いた無痛分娩を毎年30~40件程行ってきました。今までの実績と経験による厳重な安全管理体制を整え、日々安全性の向上に努めています。また、万一に備え、近隣の高次元施設とも連携しています。
無痛分娩に関する情報公開について
当院では無痛分娩を希望される妊婦さんやご家族が安心して無痛分娩を選択していただけるよう、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)の提言に基づき、無痛分娩に関する情報を以下の通り公開しています。
また、『無痛分娩取扱施設のための「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」に基づく自主点検表』について、自主点検表の項目を全て満たしています(2025/03/24現在)。
※当院の分娩取扱実績情報や、無痛分娩の説明・同意書、無痛分娩マニュアル、無痛分娩看護マニュアルを掲載してあります。
無痛分娩関連学会・団体連絡協議会(JALA)ホームページ >
※JALAのホームページへのリンクとなっております。
※JSOAPホームページ → 「一般の方へ」詳しく見る をクリック → 無痛分娩 Q&A をご参照ください。